――――――――…。
『…翔ちゃん。ちょっと、いい?』
「姫梨…。あぁ。」
夕日が差して、より一層美しさを増した庭園。私は翔ちゃんの少し後ろを歩いた。
「……元気だったか?」
『うん。…心配かけてごめん。』
「いいよ、別に。」
翔ちゃんは、すごく優しい声で話しかけてきたけど、あの時私が聞いた言葉の方が、もっと優しかった気がした。
「…なんで、23日来なかったの?全然連絡取れないし―…。」
今だ。今、伝えなきゃ。
そう思って、小さく、そして強く、手を握りしめた。
『…翔ちゃんさ、私に、愛してるって、言ったことないよね。』
「は?何、いきなり。」
『でも…他の子には、言うんだね。』
「…………」
だんだんと翔ちゃんの表情が「意味がわからない」って言っている様な、不機嫌そうな、そんな表情になっていったけど、気にしないように、目をそらした。