放課後、部活に向かったり、早々と帰る生徒でごった返していた玄関にも、ようやく静けさが出てきた。
グラウンドからは野球部やサッカー部なんかの声が聞こえてくる。
ほのかに夕日が差すこの場所で、俺はただ1人の人間をかれこれ30分くらい待っている。
「…あれ?月夜?」
「………翔。」
現れたのはさっきまで一緒にいた、俺の唯一の親友。
けど、待ってるのはお前じゃないんだよ。
「なに、誰か待ってんの?…あー!もしかして「お前じゃねーよ。」
言う前に遮られた翔は、「ちぇ。なんだよー。」と拗ねたように言った。目は思いっきり笑ってるけど。…こいつ多分、俺が誰を待ってるかわかって言ったな。
『あれっ月夜?…と、翔ちゃん…?』