今だって、半分俺を殴りかねない勢いだしな。
俺は、そんな唯澄から、さっきの女子のいたところに視線を移したが、彼女の姿はもうどこにも無かった。
………けど、また近い内に会えると思う。
彼女のネクタイは青。
俺と同じ2年だから。
唯澄が時計を見て、「そろそろ、戻った方がいいんじゃね?」とか言ってるけど。
俺等、教室がどこかわかんないだよなー。
この校舎は黒蘭高の校舎じゃない。
広い新校舎を、気の向くままにさまようのは無謀というもの。
あれから、結局、教室に着いたのはHRが始まろうとした頃だった。
「お前等。新学期早々、遅刻か?」
たぶん、担任であろう教師が呆れたように笑いながら言った。