「…ああ、そっか。奏は男嫌いだったね」
奈々は、やっと気づいてくれたのか、同情の眼差しを向けてくる。
「でも、もったいないよね」
私を頭から足まで全身を見て、奈々は呟いた。
「奏って、すんごい美少女なのに…」
……………。
いや…私はあなたも十分、美少女だと思うけど。
だって街を出歩けば、よく男に声かけられるし。
私は嫌だけど
私より愛想良いし。
私は、男に振りまく愛想なんて持ってないけれど。
「まぁ、頑張って」
語尾にハートでも付きそうな、お気楽な奈々の言葉に、私は先が思いやられた。
「大丈夫。あたしは奏の味方だって」
男子高と合併まで、後2ケ月。