誠ノ桜 -誠の下で-




凜はもう誰にも負けられないと、鋭く宮部を
捉らえた。

一つ一つの動きがゆっくりに見え、自分だけ
別の世界の時間で動いているように感じる。


………いつもそうだ。


沖田と試合をした時も、凜の方が時間の流れ
が遅い空間にいるようだった。

沖田はそれに追い付いていたから、本来なら
沖田の方が強いのかもしれない。


ただ、今日早瀬と試合をした時は同じ時空の
中にいるような感覚だった。

その対等な空間の中で、凜は負けたも同然の
結果を得た。

これ以上は、自分で許せない。


凜は力強く踏み込むと、宮部に三段突きを浴
びせた。

二段は防いだ宮部も、三段までは追い付かな
かったようだ。


「…………ったぁ…」


腹に突きを食らった宮部は、情けない声を出
して座り込んだ。


「三段突き……総司の得意技よ」


宮部と目線を合わせるようにしゃがみ、凜は
手を伸ばす。