ホームルームが終わると李羽クンの周りにはたくさんの人が囲んでいた。
廊下を見てみると、どこからか噂を聞いたのか他のクラスの人たちまで様子を見に来ている。
『李羽クン。1日にして校内のアイドルじゃん。』
そう思っていると香織が私に近付き、
「茉奈ぁ~さっきはあんな事言ってたけど気になってんじゃないの?」と言いながら肩をつついて来た。
「別に。ただ人気があるなぁーと思っただけ。そう言う香織はどうなのよ!?」
香織は考えるポーズをして、一瞬止まった。
「顔OK!それにさっき話してみたけど性格もきっと優しいし…最高なんだけど、あんなに敵が多かったらねぇ~」
確かに…あんなに多くては付き合える確率は低い。
しかし、香織は自分が思ってるほどブサイクではない。
むしろ可愛いに入る。
香織の事を好きな男子はけっこういるのを私は知っている。
なのに、香織は彼氏を作ろうとはしないのだ。
それには理由がありそうなのだが香織は話そうともしないし私だって聞こうとも思わない。
ひとりひとつは誰にだって知られなくない事があるはず。
私だってあるから…。
誰にだって言いなくない最悪な思い出が。