なんともありきたり。 「垣内さん、結構大変だね」 台本を見ながら呟く。 お姫様の性格が、心を閉ざして笑わないとか。 「誰かさんみたいだなっ」 私は、ミヤビくんをきつく睨んだ。 「…………うるさい」 「今、試しに笑ってみたら?案外すんなりいくかも」 笑えたらこんなに苦労しないんだよ。 やってみるか。 口角を上げて、笑って……。 「……気持ち悪い……」 「大丈夫か?」 「やっぱ無理だ……」 「え?」