「…。」
「一膳はすっげぇ荒れて、喧嘩しない日はありませんでした。ついには…薬にも手を出したらしいんです。それは…噂できいただけで確かか分からないんですけど…」
「…。」
「いつ新庄 光と出会ったのか知りませんけど…たぶん一膳が弱ってる時につけこんだんだと思います…それしか、考えれません。新庄 光とつるんでから益々一膳は変わりました…。」
「…そうか」
私がそう呟くと、突然栄留はベンチから立ち上がって地面に頭をつけて土下座しはじめた。
「…。」
私はそれを静かに見つめた。
「総長すいませんでした!!でも、俺…あんなんになっちまった一膳をほっとけなかったんです、あいつは俺の…すっげぇ大切なダチだから…。だから…俺を焼くなり煮るなりなんでもしてください!」
「…っ…焼くなり煮るなりって、さすがにそこまではしねぇよ」
「総長…」
「ま、ちっとやっぱ一発は殴らせろ」
「はい」
そう言うと、一膳は顔を上げて目を瞑った。
その瞬間
ぺちっという音が暗闇に静かに響いた。
栄留が目を開けてびっくりしている。
「総長…?それは殴るじゃなくて叩くですよ?しかも、全然痛くないですし…」
そう私は栄留の頬を軽く叩いただけだったのだ。
私はそのまま
栄留の頬にそっと手を置いた。
栄留が不安そうに私を見てくる。
「総長…?」
私は栄留を見つめたまま
「あんま一人でなんでも抱えこもうとするんじゃねぇよ」
静かにそう呟いた。