「百鬼凰の総長…新庄 光(シンジョウ ヒカル)です…。」
百鬼凰の総長?
ふっと赤髪野郎の顔が浮かんだ。
「あぁ…赤髪野郎か…。そいつと一膳が何かあったのか?」
「…はい。」
栄留の眉間に皺が寄る。
「教えてくれ」
「一膳は…本当はいい奴なんですよ。全部あいつの親父のせいで…っ…」
栄留が悔しそうに顔を歪めた。
「親父?がどうかしたのか?」
「…あいつの親父が……会社をクビにされて家に帰ってきたんです。それまでずっと家に帰って来なかったくせに…」
「…。」
「それから一膳の親父頭くるちゃって毎日酒ばっかのんで、ついには借金も抱えて帰ってきて…。それで、家庭が崩壊して…。」
私は相槌をうつ。
こくん、と
「それでも一膳は高校中退して夜遅くまで働いて親父の借金を返すためにすっげぇ真面目に働いてたんです…。なのに…」
そこで栄留が今にも泣きそうな顔をしながら言葉をとめた。
「…なのに?」
すると、
息を深く吸い込んで続きを話す。
「一膳の母親…自殺しようとしたんです。それから…一膳も一膳の弟も一気に人が変わりました。」