「…。」


「…。」


私達の間に沈黙が続いた。


ただ、夜の寒い風の音と綺麗な満月が私達を静かに見守るように照らしてくれた。


煙草を吸い終わると地面に落としてグリグリと踏みつけた。


私は栄留の頭の上に手を置いた。

栄留は目を見開いて私を見る。

「栄留…俺を信じろ」


私は静かにそう呟いた。


「…加那さん…」


「信じろ」


今度は力を込めて言った。


「…っ…俺は一膳がわかんないんです。」


「…」


「一膳はあいつが現れてから変わりました。昔はあんな奴じゃなかったんです…」


確かに昔の一膳は

根性があるやつだったな…


「あいつのせいで一膳は…っ…」

「あいつって?」


あいつって誰だ?