「すまねぇ。今まで黙っていて…。俺…前から栄留が裏切っていたことを知ってたんだ…」
「な…なんで…それをはやくに言わなかった…」
奏が顔をゆっくりあげる。
「…お前を悲しませたくなかったから。」
奏…。
「…。」
「加那は…栄留の事を他の奴らに比べて特に気に入っていたから…。」
奏の悲しそうな瞳と目があう。
私が…私が…
奏に今まで辛い思いをさせていたのか?
「私は…。私は…奏…すまねぇ。」
「なんで加那が謝るんだよ?」
「お前一人そんな辛い事を背負っていたことに気づけなくて…。」
「俺はいいんだよ」
「よくねぇ!!」
私は怒鳴った。
そして
奏の頬に手をそえた。
「加那?」
奏が困惑している。
「よくねぇよ…いつから知ってたんだ…?」