「……やっぱなんでもない。」


「なにそれ…それじゃお母さんもう寝るね?」


「あ…うん。」


お母さんが寝室に向かった。


私は何を言いたかったのだろう。


何を…聞きたかったのだろう。


自分自身でも、分からなかった。


自分のことは自分が一番分かってるはずなのに…。



鉄二…寿二…


いつか…三人で又この家で笑える日は来るのかな?


苦しいよ

やっぱり家族が離れて暮らしてるのは辛いよ。悲しいよ。


分からないよ


鉄二も寿二も考えてることが


私には分からないよ


私は棚に目を向けると、棚の上には家族全員で幸せそうに笑ってる写真があった。


ー…又あの頃のように笑いたいよ


私はパタンとその写真をふせた。