「こいつが…お前らの裏切者だ」



一膳は気味悪い笑みを浮かべて、そう言った。


俺は一膳よりも、その一人の男を睨み付けていた。




「俺とこいつはなぁ~幼なじみなんだよ?」


「あ?幼なじみ?んっなの、どうでもいいんだよ?裏切は裏切だ!!加那が知ったらどうなるだろうな?」


「…あほ、俺がわざわざお前に裏切者を教えて帰すわけねぇだろ?」


一膳は煙草を一本とりだし、火をつけた。

「ふっ、殺れるもんなら殺ってみろ!!!」



俺がそう叫ぶと、裏切者の男が殴りかかってきた。


「俺がお前に負けるわけねぇだろ!?」


俺は裏切者の男の腹に拳をグッといれた。



「うっ」



裏切者の男は、膝をつけるが又立ち上がって殴りかかってきた。


俺も殴りかかる。


「おらぁ!?」


バキ


裏切者の男のあばらが痛々しい音が鳴った。


裏切者の男は、「…っ」と声も出せず、あばらを抑えながらまだ立っていた。


「もういい、どけ」


突然一膳が裏切者の男をどかして、俺の前まで来た。



「よぉ?一膳…加那に殺られる前に俺が殺ってやるよ!!」



俺がそう言って殴りかかろうとすると、突然頭に激痛がはしった。



「ぐっぁ!?」