『ほら、あっち。』




声が聴こえる




聞き慣れないどこか懐かしい声



この世界に一人ぼっちかもしれないと言う不安がスッと薄まる




と言うか『あっち』だなんて、なんとアバウトな表現なのだろう



私はとりあえず前に進もうと踏み出しかけた足をピタリと止めた




よく考えて?


暗闇で見えないが、もし私が立つ場所が崖っぷちだとしたら?



私は間違いなくこの一歩を踏み出したら崖から真っ逆さまに落ちていってしまったに違いない。




怖い。



今、自分のいる場所がどこなのか認識できないことが、




そして、ここから抜け出せないかもしれないことが。




怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い






誰か、助けて












ココハドコ―…?