突然来た声に驚き、振り返る。
そこには………
女がいた。
『女ごときが口だしすんじゃねぇ』
『おいおい、お前失礼にも程があるぞ』
『あぁ?うっせぇな』
『おまっ…口悪ぃな』
俺は溜め息をついた。
嫌々また振り返る。
『女でその口調よりマシだろーが』
『あのなぁ…いい加減にしろよ?俺は女じゃねぇ、男だ』
『………………は?』
俺はじっくり見た。
セミロングの髪を一つに下で縛っている。
が、しかし。
体操着の名前には……
[柊原翔太]
『ひいらぎはらしゅーた?』
『馬鹿かお前?く・ぬ・ぎ・は・ら・しょ・う・た。だよ』
『あぁ。…変な名前』
『あんだと、コラ。さっきから喧嘩売ってんのか』
『別に?』
俺はフェンスに体を寄せた。
ガシッ
『?』
何かに腕を掴まれた。
見ると、柊原が腕を掴んでいた。
俺は意味不明だった。
『…何してんのお前』
『お前の腕掴んでる』
『見りゃわかる。何で掴んでんのって聞いてんだよ』
柊原は俯いた。
全く動かない。
『柊原ー?聞いてんの?』
『……な……よ』
『は?ゴメン聞こえなかった』
柊原は顔を上げると一筋顔に涙で線を作った。
『死ぬなよ…』
これが、俺と翔太の出会いだった………。
『翔太ゲーセン行こうぜ』
『誠也…受験生って自覚あるか?』
『へぇ?翔太あんの?』
翔太はニッと笑った。
『お前よりねぇよ』
『じゃあ行くよな?』
『勿論』
中学3年の1月、俺と翔太はすげぇ仲良しになってた。
それに俺ももう人に触れる。
ずっとずっと仲良しでいられると思ってた。