この世界に

神は、いるのか。



いるのなら、何故サヤは死ななければならなかったのか。


神よ………俺は




愛してはいけないか…?




好きになっては、いけないか…?




彼女を愛した。




好きだと心から思った。






神よ……それはいけない事なのか…………?




絶望にうちひしがれた俺は




神に問う事しか、出来なかった……………。





翌日、俺は学校に行った。

学校に、サヤがいる様に思えた。


ガラッ


教室を開けると、皆が一斉に俺を見た。

遅刻では無いはずだ。

ちらっとサヤの机を見る。

上には、白い白い、病院よりもずっと白い、菊の花が、一輪咲いていた。


そこだけ


違う空間の様になっていた…………。


『誠也……………』


周りが俺に遠慮がちに近付く。


俺は、動けない。


『誠也君…』


一人の女子が、俺に触れた。

バシッ

『きゃっ』

『あ……………』


何故か、振り払った。


生暖かい、生きてる肌が

怖かった…………


『触んじゃ、ねぇ』


低い重みのある声。


その位、余裕がなかった。

周りは俺を更に心配して、近付いてきた。


『来るなッッ!!!!!!!!!』


ガァァァンッ


扉を蹴り飛ばして教室を飛び出す。


走って

走って走って…………


バンッ

開けた扉の先は

『空………』

蒼い蒼い…澄んだ空。


自然と、涙が出た。


サヤはもういない。

それは事実なんだ……。


ちらっと横を見ると、フェンス。


あぁ、そうか…屋上か。


俺は無意識の内に、フェンスを越えた。


サヤがいないなら………


俺がサヤの所へ行く………。

そう決意した時だった。


『お前さぁ、止めろよ』

『……………!?!?誰、だ……?』