サヤが、俺に覆いかぶさっている。
そうだ…はねられる瞬間。
『誠也ッ!?!?』
サヤは走ってきた俺を抱きしめたんだ。
あのままだと[俺が]死んだから。
ドサッ…
血まみれのサヤが崩れ落ちた。
『サヤッ!?』
俺は痛みを振り払いサヤに寄り添った。
サヤはうっすらと目を開けた。
『せ………や…?』
『サヤッッ!!!』
サヤは俺がいる事に気付くと、微笑んだ。
『せ……や…良かっ……無事だっ……た……だね………』
『サヤ、サヤッ!』
涙が流れる。
『救急車を呼べっ!早く!!!』
周りの人がざわざわしている。
俺はサヤを泣きながら見つめた。
『サヤッ、どうして…!』
サヤは優しく優しく微笑んだ。
『誠也を…愛してるから………だよ…』
涙が溢れた。
『サヤッ…!』
俺はサヤを抱きしめた。
サヤは動かない。
いや、動けないんだ。
サヤを愛しく見つめた。
『サヤ…』
『…な………に…?』
俺は泣きながら誓った。
『俺も、愛してるよ…』
優しい優しいキスをする。
でも、サヤの唇は少し冷たかった。
サヤは泣いていた。
『ずっと…愛してるよ誠也………ず……と…』
ガクン…
サヤは人形の糸が切れたかのようにぐったりした。
『サヤ……!』
救急車が来た。
俺とサヤが乗る。
サヤ…サヤ…!
お願いだから、生きてくれ、サヤ…!!!!!!