サヤは涙目で笑顔になった。

『うんっ!私も誠也守ってあげる』

『そりゃ、どーも♪』

俺は笑顔になった。

そして、ふと気付いた。

視線…。

サヤもようやく気付いたらしく、いきなり真っ赤になって離れた。

『ま、周りに人が…』

『いや、俺さっき言ったから!』

『うそぉ!?全然聞こえなかったし、気付かなかった……』

『ったくー』

ちらっとお互いを見る。

『『クスッ』』

2人一緒に微笑む。

そして、手を繋いで歩き出す。

二度とこの手を離したくない。

俺達はそう思った。

なのに……………


報われなかった……。



『あ、誠也ん家が見えた♪相変わらずおっきいねぇ…』

サヤが唖然としている。

『そうかぁ?』

『うん、おっきい。あ、信号青になったよ♪行こっ』

サヤが手を離す。

ちょっと悲しい俺。

『お、本当だ。…ってサヤ早っ!』

サヤはいつの間にか横断歩道の真ん中辺りにいた。

…瞬間移動?

サヤは笑顔で俺を呼ぶ。

『せーいやっ、早くー♪さっきの誕生日ミニパーティーあたしん家でやったから、誠也ん家で仕切り直しねっ♪♪』

俺はサヤ作のケーキを見た。

また笑ってしまう。

『あーっ、また笑って!』
サヤが頬を膨らませて拗ねる。


…………その時だった。


キキキキィィィィッ!!!!!!

暴走したトラックがサヤに向かってブレーキを踏んだ。

あのスピードでは間に合わない。

『サヤッ!!!!!』

思わず走り出す。

サヤを、助ける!!!

『誠也っ!?!?』

ドンッ!!!

体が宙を待って落ちる。

体に重くのしかかる衝撃。

頭がくらくらし、体中が痛い。

思うように動かない。

意識が朦朧とする中、サヤを思い出しすぐさま目を開いた。

それと同時に叫ぶ。

『サヤッ!サヤッ!無事……か……』

目を開いた俺は頭が真っ白になった。