佐奈はまた財布を取り出して金を探る。

俺は財布を取り上げパチンと閉じた。

「こういうのは普通は男がおごるもんなの」

「で、でも…」

申し訳なさそうにする佐奈の額に軽くデコピンをした。

「せ、誠也ぁ？何でデコピ…」

「こんな時位、カッコつけさせろよ」

佐奈がちょっと赤くなる。

「え……？」

うわ、やべぇ俺まで赤くなってきた。

佐奈の隣りに座って顔を背けた。

赤くなったなんて見られたくねぇっ！

「ほ、ほら早く食べろよクレープ」

「う、うん。あ、あのね誠也……」

「ん？」

振り返り佐奈を見る。

佐奈は満面の笑みになった。


「ありがとっ♪♪」


ドキッ…！

「あ、ああ」

思わずまた顔を背ける。


ドキンドキンドキン……


心臓の鼓動が速まる。


『ありがとっ♪♪』


佐奈の笑顔。

眩しい位綺麗で、澄んだ笑顔。


……俺は、その笑顔を守りたかったんだ。


ちらっと佐奈を見ると……クレープが無い。

「佐奈、クレープどこにやったんだ？」

「え？何言ってるの誠也〜もう食べちゃったよ？」

早っっ!!!!

佐奈って、実は大食い？

唖然とする中、佐奈はいきなり立ち上がりニコッとした。

「次行こっ♪」

うわ、無邪気で可愛い…。

「はいはい」

わざと苦笑いしながら立ち上がり、次へと向かっていった。


そう………

この先に…

何が待っているか

知るよしもなく……。