ピーンポーン…
呼び鈴を鳴らす。
勿論、佐奈の家の呼び鈴だ。
バタバタバタ……
走る音が聞こえる。
ガチャッ
「はい?あ、誠也ー」
「よぉ」
佐奈はニッコリした。
髪はサイドに縛った後、緩く巻いたのかふんわりしている。
高校生なのに、今時珍しい黒髪。
可愛らしいワンピースの中には重ね着をしている。
…最近一気に寒くなったしな。
紅葉と銀杏が華麗に舞う。
「時間ピッタリだねっ!じゃあ行こっ♪」
「はいはい」
苦笑いして佐奈を見る。
久しぶりに見た。
こんなに澄んだ佐奈の笑顔を―…。
「つーか佐奈、どこ行くんだよ?」
そう、場所を全く聞いてない。
すると佐奈は急に困惑した顔になった。
もしかして………。
「佐奈、もしかして場所決めてねぇの?」
「あ、あははー?」
「…やっぱりな」
「だ、だってまず誘うのが先かなーって…」
「場所決めてから誘おうなー?」
「はぁーい…次からそーしまーす」
佐奈が少ししょんぼりして了承する。
ったく、可愛いなぁ。
「さて、どうしましょうかねぇ…」
「うーーーん…」
二人して考え込む。
遊ぶ。
付き合う。
って言ったら…やっぱり……。
「遊園地とか?」
言った瞬間に佐奈が一気に笑顔になった。
「遊園地!行きたい♪」
あぁ…マジで可愛い…。
『時間が欲しい』
正直いらない。
だって…こんなに佐奈が好きだって、俺の中身が言ってる。
あの時は…パニクりまくってたからな。
仕方ないっちゃ仕方ないか。