俺はわざとらしく空を見て足を組んだ。

「あーあー何だか喉が渇いたなー。コーラが飲みたいなー」

「あーもー買ってくるよ!買ってくればいーんだろ!!チクショー!!!!」

「はいはい、行ってらっしゃい」

またニッコリほほえんで亮の走り去る姿を見る。

ああ…快感♪

亮は結構イケメンなのに気取ったりしてねぇから楽だ。

昔っから変わってない。

せいぜいエロがプラスされただけだ。

「さぁて、次はどうしたものか」

ワクワクしながら亮をいじる作戦を練る。

ちゃり…ん

「…………?」

透き通った金属音が近くで聞こえた。

ベンチの下には、銀色のアクセサリー的な物。

デザインは月。

「……………ッ!!!」

それは俺のペンダントだった。

瞬時に拾い上げてペンダントをはたく。

土がパラパラ落ちていく。

蘇る…蘇る……。

『ハッピバースデートゥーユー♪ハッピバースデートゥーユー♪』

誕生日に歌う彼女の顔。

『ハッピバースデーディア誠也〜♪ハッピバースデートゥーユー♪♪♪』

いつも笑顔で、たまに怒ったり、泣いたり、拗ねたり…。

その全てが愛おしかった。

初めて…人を愛した。

カチャン

首にペンダントを付けた。

少しペンダントが冷たい。

「っ………はぁ…」

思い出すな、俺。

あの思い出は…消さないといけないんだ。

俺が決意したことじゃねぇか。

地面を見つめる。

しかし記憶が再生される…。