今日は久々の振り替え休日。

一応亮と遊ぶ的な約束をした。

「ねーねー」

全く、早く来いよな。

10分経ってるぞ。

「ねーったらー」

そして何なんだ、このさっきからうるせぇ女は。

「無視しないでよぉー」

俺の勝手だろーが。

俺はこういう女は嫌いだ。

やたらうるさくて男のことしか頭に入ってねぇ奴ばかりだから。

「ねーぇー」

女はついに俺の横に座りやがった。

「聞いてるー?」

うるせぇ、早くどっか行け。

無視し続ける俺。

亮、マジで遅い。

「おーい、誠也ー?」

女が俺を呼ぶ。

あーもーうるせぇな。


って…え?

今、俺の名前読んでたよな?

知り合いっ!?

やっと顔を女に向ける。

「あ、やっとこっち見たー」

やっぱり知らない。

誰、この女。

「あんた誰」

「きゃ♪声もカッコイイ♪」

この女…言葉が通じてねぇな。

「何で俺の名前知ってんの」

「あたしアヤ!片仮名なの!よろしくね誠也」

…やっぱり通じてねぇな。

「お前の名前なんか聞いてねぇよ。質問に答えろ」

「あれ?アヤって聞いても思い出せない?」

だから知らないし。

マジで誰だよ、あんた。

アヤって女はニッコリした。

「澤野アヤ」

澤野………?

「……………ッ!ア…ヤ…!?」

「あ、やっと思い出したな、こいつー」

澤野アヤ。

さ・わ・の…………。

過去が蘇る。

『誠也ーっ』

あの笑顔が浮かぶ。

『ちゃららちゃっちゃらーん!プレゼント〜!』

首に付けてるペンダントが揺れる。

アヤは寂しそうに笑った。

「まだ、気にしてんの?あの事…」

「あれは全部…俺の責任だし…な」

「やっと皆に優しくなれたんだね」

「まあ…な」

「あの事の後、誠也かなり怖かったよ?」