ガチャッ

「佐奈お前電話なげぇよ」

ドアを開いた瞬間にムカつくクソ坊主の雅樹に苦情を言われる。

怒りたい…けど他人いるし、我慢我慢…。

「ごめんごめん。話に花が咲いてなかなか終わらなくて」

ちらっと左藤君を見ると普通に漫画を読んでいる。

「てか誠也〜ゲーセン行こうぜ。対戦だ対戦」

左藤君が漫画から顔を上げて不敵な笑みになった。

「お前が俺に勝てるとでも?」

「圧勝だね」

「仕方ない…格の違いを見せてやるよ」

「よっし、かかってこいっ!…で、佐奈お前どーすんの?」

いきなり話をあたしに振るな雅樹っ!

「ゲーセンとか、あたしちょっと苦手なんだけど」

「教えてやるぜ?」


「えっ?」

ビックリした。

だってそう言ったのは左藤君だったから。

雅樹がニヤニヤする。

「紳士だねぇ誠也〜」

「うっせぇ。で?どーすんの佐奈?」

「お、お願いします」


って、ちょっと待って?

今…佐奈って言った?

佐奈って言ったよね?

あたしが唖然としていると、左藤君はくすくす笑った。

「もう高校生なんだし、呼び捨てでよくね?」

「そ、だよねっ」

あ、あたしちゃんと自然に笑えてるかな?

すると左藤君はニッコリした。


「俺のことも誠也でいいからさ」

「へっ!?」

呼び捨て!?

「ほら、言ってみろよ」

言ってみろよって…は、恥ずかしい。

「せ、誠也」

うわぁぁー…!

あたし絶対真っ赤になってるよー!

雅樹が明らかにあたしを見てニヤつく。

ああ…本当に我が弟ながらムカつくわ。

「よし、よく言った。んじゃ行くか、ゲーセン」

「そーだな」

「そ、そーだね」