「違うわよ、ただの捻挫ね。ただちょっと炎症起こしてるからしっかり病院行きなさいね」

「はーい」

亮がダルそうに返事をする。

亮がちらっと誠也を見た。

やっぱり…心配だよね。

あたしはそっと誠也の所へ行った。

誰も止めない。

ベッドの横にあるイスに座り、誠也の手を握る。

「ありがとう誠也……」


「ん……………………?」

「「「誠也っ!!!!」」」

三人揃って誠也の名前を叫んだ。

愛美も、亮も足のケガなどすっかり忘れて駆け寄った。

「あれ?俺……何で寝てんの?」

「お前、軽い脳震盪起こしたんだよ」

亮がまるで分かっていた言葉かのように脳震盪と言っている。

先生が少し笑っている。

「はぁ!?脳震盪!?マジかよっ!うわー…初めてだよ、俺…脳震盪なんかなったの」

そう言いながらあたしを見て、ニッコリした。

少し安心の色がある。


「あー…よかった。佐奈、無事だったんだな」


「せい……や……!」


ポタポタと涙が落ちる。

誠也は慌てている。

「えっ、いや、ちょっ…何で泣くんだよ佐奈〜」

亮がニヤニヤした。

「あらやだ、左藤の奥さんったら穂波さん泣かしたわ」

「亮っ、気持ち悪い声出すんじゃねー!鳥肌立つわ!」

「きゃ〜〜♪ひぃー↑↑↑き!よ〜ひぃー↑↑↑き!だわ〜」

亮が更におちゃらける。

誠也がベッドから起き上がった。

「何が『ひぃー↑↑↑き!』だ!って、なんか体中いてぇー!」

誠也が勢いよくベッドに倒れ込む。

あたしは思わず吹き出した。

「ぷぷっ、な、何それコントぉ?」

誠也と亮がニッとした。

そして亮があたしの頭にポンッと手をのせた。

「やーっと笑ったな」

「佐奈は笑顔が1番いいんだよ」

「え?」

もしかして……あたしの為に?