急いで保健室まで運ぶ。

保健の先生は衝撃を与えないように!って言ってたからかなり慎重。

愛美と先生は誠也を運んで、あたしは亮と保健室に向かっていた。

「亮…ごめんね……足、痛いよね…」

亮は足を引きずっている。

両足とも愛美に蹴られたけど、酷いのは右足。

血だらけになってる。

亮はニコッとした。

「ありがとう」


「え………?」


「ありがとうが、いいな」

「うん…うん…!ありがとう…ありがとう亮…」

「どう致しまして♪」

無理に笑顔を作っているのが、痛い程わかる。

だって時々凄い痛そうな顔するから。

あたしを心配させないようにしてくれてるんだね…。

「やっと着いた…!」

ガラガラ…

保健室を開けると、ちょうど誠也をベッドに運ぶときだった。

誠也は…階段から落ちるあたしを助けてくれた。
自分を身代わりにして…。

「大丈夫だよ、佐奈」

「亮……」

あたしの気持ちを察したのか、亮が優しくあたしにつぶやいた。

あたしは亮を座らせると、保健の先生に駆け寄った。

「先生…!亮の足が…!」

「わかってるわ。穂波さんと狩野君、ちょっと待ってね」

先生は誠也の診察をしている。


少しして、安心したかのような顔になった。

「左藤君は、軽い脳震盪よ」

「のーしんとー?」

亮は意味が分からず、ポカンとしている。

先生が亮に丁寧に説明をしている。

少しして、先生は亮の制服のズボンを脱がすから、と、あたし達を追い出した。

少しして、先生が中に入れてくれた。

制服のすそから見える、白い包帯…。

あたしは恐る恐る聞いた。

「まさか…骨折ですか…?」