「は……………?」

耳を疑った。

…何だよ、それ。

嫌いって何だよ。

理由を言えよ。

何が理由なんだよ。

一体、何なんだよ…!!

ふと、佐奈が俺を見た。

「……………!」

そしてまたすぐに目を伏せた。

俺には、見えた。

「佐奈……っ!?おまっ…何で泣い…」

そう、佐奈は泣いている。

しかし来た返事は…。

「ごめんっ!!」

佐奈は俺をはねのけて走り去った。

「佐奈っ!佐奈っ!!!」

呼んでみたが、戻ってくる気配がない。

帰ろう。

そう思ったときだった。

「誠也……」

振り向くと、愛美がいた。

「愛美!?」

どうやら屋上にある建物の裏にいたらしい。

「何でそんなとこに…」

「佐奈、今、誠也のこと嫌いって言ってたね…」

愛美は俺の質問を遮り、ただ淡々と話す。

俺はふいを突かれて一瞬戸惑ったが、すぐに冷静になった。

「ああ、言われた」

でも、あの涙…………。

もしかして、何か理由があるんじゃないか……?

そう考えているときだった。

愛美は真顔になった。

「ねぇ誠也……もう諦めなよ」

「あぁ?」

何を諦めろって?

思わず少しきつい口調になってしまう。

愛美は悲しそうに俺を見た。

「佐奈のこと…。佐奈だって亮君がいるんだし、さっきだって……」

「うるせぇ、黙れ」

思い切り愛美を睨む。

愛美はビクッとして、涙を流し出した。

「何…で……?何で佐奈…なの…?あた…し…こんなに好き…で…。それ…に…佐奈に…だって…協力…を……」

は…………?

「協力?」

俺が聞き返すと、愛美はしまった!という顔になった。

気まずそうにしどろもどろしている。

何か隠してるな。