「ばぁー…か…こんくらい…平気だっつーの…」

でも、亮は青ざめている。

無理してるんだ…!

「亮……すぐ保健室に…!」

「はぁ?行かせないから」

亮の腕を持ち上げて保健室に行こうとすると、愛美があたしを突き飛ばした。

「いたっ…!」

こんな狭い階段のつきあたり、階段から落ちかねない。

あたしはゾクッとした。

愛美はぼそぼそと低くつぶやき始めた。

「……あんたがいたから…誠也は……あたしを見ないんだ…」

え………?どーゆーことっ…?

誠也が愛美を見ない?

何で……?

いつもあんなにラブラブじゃん。

「わかってないフリすんじゃねーよ!人の彼氏好きになるなんて最低だよ!!佐奈には亮君だっているのに…!!!」

ズキン…!

心が痛む。

「や…めろ…!佐奈を悪く…言う…な…!」

亮が足を抱え込みながら必死の形相で叫ぶ。

愛美はニヤッとした。

「ねぇ佐奈ぁ…あたしのこと、大事ぃ……?」

「え……?」

何でいきなり……?

愛美は思い切りあたしの髪を掴んで無理矢理立たせた。

「いっ……!離して愛美…!」

抵抗してもびくともしない。

むしろ髪がどんどんちぎれていくだけだ。

愛美はまたニヤッとした。

「大事ならさぁ…いなくなってよぉ…!」

「…は?うぐっ!」

あたしは勢いよく壁に押し付けられた。

上手く息ができない。

耳元で愛美の声がする。

「佐奈さぁ…あたしのこと応援するって言ってたよねぇ…?なのに裏切ったんだよねぇ…?」

「ち……が………」

あざけ笑うかのような愛美の声。

呼吸が荒くなっている。

「ねぇねぇ…!あたしから誠也を奪う気なんでしょっ…!?そうは…させない…!!!!」

いきなり壁から離され突き飛ばされる。

目の前には階段。

手すりに届かない…!

落ちる……!!!!

「きゃぁぁぁぁっ!!!!!!」

「佐奈ーっ!!!!」