「え?あー…誠也ん家に佐奈が来たとき、あたしいたんだ。し・か・も!しちゃった…♪」

は?

しちゃったって……何を?

愛美は恥ずかしそうに笑った。

「もぉ佐奈ったら〜エッチだよ、エッチ」

「え…」

誠也と愛美がっ……?

一つ…に……?

嫌な映像が流れる。

嘘だ嘘だ嘘だ。

そんな……嘘だよ…。

そんなときだった。

「ばぁーか。当たり前だろ?実はさ…この間、愛美を抱いたんだよ」

誠也の話し声がかすかに聞こえる。

抱い…た…?

「マジでかよっ!?すっげぇラブラブじゃん」

止めて亮…。

言わないで……。

思わず耳をふさぎたくなる。

「だろ?だから佐奈は好きじゃねーよ。俺は愛美が好きなんだ…」

……ッ!!!!!!

この言葉を聞いたとき、あたしの中で何かが壊れた。

愛美が何か話しているけど、聞こえない。

堪えられなくて、ちらっと誠也を見た。

「…………!」

誠也と目が合った。

でも誠也はすぐに目をそらしてしまった。

完全な『拒絶』。

私は悲し過ぎて泣きそうになった。

誠也の好きな人は愛美って、はっきり聞こえた。

あたしは好きじゃないって、はっきり聞こえた。

そして次にはっきり聞こえたのは…愛美の声だった。

「あのさ……………いんだけど。…………?…………るの?」

「え……?無いけど…」

「なら、いーよね?」

「う、ん………」

あたしにはよくわからなかった。

よくわからないまま放課後を迎えた。

屋上へ行って………誠也を待った。

幸い誠也はすぐに来た。

夏の日差しがあたしと誠也を照りつける。