「佐奈〜おっはよ〜」

「あ、愛美。おはよう」

あたしはぼーっとしていた思考から愛美へ方向を向けた。

この間、誠也に伝えた。

あたしが亮と付き合い始めたことを。

あの日………。



『なぁ佐奈』

『なーに?亮君』

『……その君付け、止めてくんない?』

『え?』

あたしは何故か硬直した。

だって…家族以外の男の子で呼び捨てしてるのは誠也だけ。

誠也しか呼び捨てにしてない。

何だか亮君を呼び捨てにするのは抵抗があった。

多分、これは亮君を好きじゃない証拠。

友達としては好き。
でも、恋愛としては好きじゃない。

でも嫌いって訳でもない。

友達として、好き。

つまり亮君に流されちゃった恋愛。

あたしは卑怯だよ。ずるい。

亮君の傷ついてもいい、誠也が好きでもいいって言葉に甘えた。

あたしは、逃げた。
嘘をついた。

でも………。

『うん、亮♪』

『佐奈♪』

あたしは偽りを続けてしまった。



未だにちょっと後悔中。

愛美はあたしの前の席に座るとニッコリした。

「佐奈っ、おっめでとぉ〜♪」

「へっ?」

何のことっ?

あたし、誕生日まだだよ?

なんか表彰されたっけ?

すると愛美はニヤニヤした。

「亮君と付き合い始めたんでしょ?」

「えっ…………?」

何で愛美が知ってるの?

まだ、愛美には言ってないよ?

今日言おうって決めてたから。

誠也にも一昨日に言ったばかりだよ?

それに誠也はそういうの言わない。

面倒だからって。

じゃあ何で………?

あたしは疑問ばかり浮かび、不安さえ出てきた。

何だか嫌な予感がする。

あたしは恐る恐る口を開いた。

「あ、のさ…何で…知ってるの…?」