最近の愛美はいつもこんな感じでキスを求めてくる。
唇を離すと愛美が抱きついてきた。
「もっと………もっとして」
「わかった…」
愛美の顔を上げさせ、またキスをする。
今度は、甘く深く……。
愛美がまた抱きついてくる。
「好き…あたし、誠也が好きだよ……」
「うん…俺もだよ」
嘘だ。
俺は佐奈が好きな癖に愛美に好きだと言っている。
俺は最低だ。
そんなときだった。
ピンポーン…
「ん?誰か来たみたいだよ?」
「んー…」
ダルい体を動かして玄関に向かう。
正直、相手が誰でも、こんな雰囲気のときからは動きたくはない。
なんか、めちゃめちゃダルくなってるから。
ゆっくりと玄関への道のりを歩く。
こういうときの俺はかなりダラけてる。
するとまたチャイムが鳴る。
ピンポーン…
何回もって…ムカつくな。
ったく、誰だよ。
まぁ…普通なかなか来ないなら何回もチャイム鳴らすか。
なんか俺って最近やたら短気だ。
早死にするタイプだな…。
「はい?」
不機嫌丸出しの俺の声。
ちょっと怖いな、我ながら。
「あ…誠也………」
ドアを開けると…。
「佐……奈………」
佐奈がいた。
一気にダラけモードが吹っ飛ぶ。
サラサラの髪をなびかせて、ワンピースを着た佐奈が目の前にいる。
本物……に決まってるだろ、俺。
やべぇ…かなり緊張。
冷静になれ俺っ。
何のために突き放したっ!
「何か用?」
「うん。あのね、あたし………」
何かかしこまってるし。
ドキン…ドキン……
鼓動が高鳴り始める。
まるでさっきまで心臓が止まっていたみたいだ。
しかし、すぐに鼓動は消えた。