え……!?

あたしは亮君を引きはがそうとした。

が、力が強くて引きはがすことが出来ない。

「りょ、君何言ってんの?あたしは誠也が……」

「知ってる…。でも誠也は…もう佐奈のとこには戻らないよ」

何で?

何でそんなことが亮君にわかるの?

あたしは悲しさと虚しさでいっぱいになった。

亮君の腕が軽く緩んだ。

そのスキをついてあたしは勢いよく亮君を突き飛ばした。

「佐奈……」

悲しみのこもった表情。

止めて亮君…。

そんな顔しないで……。

あたしは激しく揺らぐ気持ちをはねのけるように叫んだ。

しかし、それはただ疑問と不満を叫んだだけだった。

そしてあたしは本音ばかり亮君にぶつけてしまった。

「何で!?亮君に何がわかるのっ!?何を知ってるの!?何なのよ皆して!嘘ばっかり!!!同情の好きなんかいらないっ!!!」

「同情なんかじゃねぇよ!!!!!」

亮君の大きな声に思わず固まる。

ぽろぽろと涙が頬を伝っていく。

亮君は悔しそうに拳を握った。

「同情なんかで好きにならない……俺は…初めて会ったときから…ずっと好きだった……」

「う、そ…だよ……」

「嘘なんかじゃない」

「また…きっと嘘ついてるんだ……」

あたしには亮君の気持ちがわからなくなっていた。

もう自分のことでいっぱいいっぱいだったから……。

亮君はまっすぐあたしを見つめた。

思わずドキッとする。

「俺は心から佐奈が好きだ…本気なんだよ…俺は佐奈を大切にする」

「でも……」

あたしはまだ誠也が………。

「分かってる、誠也がまだ好きなんだろ?それでもいいよ…」

「え…?」