「おーい、佐奈ー?」

亮君があたしの目の前で手をちらつかせる。

どうやら誠也のことを深く考え過ぎていて、亮君をほったらかしにしていたらしい。

ご、ごめん亮君…。

「ごめーんっ」

「まぁいーけどな。…で?相談って?」

「うん、実は………」

あたしは亮君に一通り相談した。

まだ誠也が好きで、新しい恋ができないこと。

雅樹達の様子がおかしいこと。

本音を言ってほしいこと。

その一つ一つに亮君は真剣に答えてくれた。

話が終わると、亮君はちょっと悲しい顔をした。

「皆…我慢してばっかりだよな……」

えっ?どーゆーことっ?

亮君は何か知ってるの……?

「亮君?」

「俺は…気持ちは我慢できないな」

「え?」

気持ちは我慢できない?

どういうことなの?

あたしは軽くパニクってきた。

すると亮君はあたしを優しく抱きしめた。

「りょ、亮君ッッ!?何す…」

「佐奈はまだ誠也が好きなんだよな…?」

亮君?

いきなり何言ってるの?

あたしは抵抗も忘れてパニクる。

「さっき言ったじゃん。好きだよ…。ねぇちょっと離れ…」

「あのさ…俺の気持ち…わかってて、相談とかしてんの?」

「は?」

振り返り亮君を見ると、亮君は切なそうにあたしを抱きしめていた。

「俺は…誠也以上には…なれない…?」

え……………?

何、今の言葉……?

「な、にが…?」

口が上手くいうことを聞かない。

頭が真っ白。

亮君は強く抱きしめている。

鼓動が不覚にも高鳴る。

「俺は……佐奈が好きなんだよ……」