顔を上げると亮君は雅樹に近づいていった。

「亮君……」

「佐奈、辛いもんな。ここで待ってろ?説明してきてやるから」

「ん…ありがとう亮君」

「どう致しまして♪」

亮君はニコッとすると雅樹と海岸に行った。

優しいね、亮君。



『佐奈っ!』

笑顔で誰かあたしを呼んでる…。

あなたは…誰…?

『幼なじみなんだから、呼び捨てでいーだろ?』

「誠也!?」

その笑顔は誠也。

聞きたいこと、いっぱいあるんだよ…?

「誠也…賭けなんかじゃないよね?あたしには分かるよ」

黙り込む誠也。

ねぇ…嘘なんでしょ?

『佐奈、幸せな日々を送れ…』

誠也はそう言うと背中を向けた。

「待って!!質問に答えて!!!誠也っ!!!」

必死に追い掛けるけど、誠也は去っていく。

待って…!

お願い…!!

誠也…!!!!



「…奈…佐奈っ!」

「あれ…あたし……?」

目を開けると、目の前には雅樹。

雅樹は呆れた表情。

「こんなとこで寝るなよなー」

あたし…寝てたんだ……。

じゃあさっきの、夢なんだ。

「ごめんごめん。って、あれ?亮君は?」

雅樹はビクッとした。

何で…?

「な、んか友達んとこ行ったみたいだぜ」

雅樹はあたしと目を合わせない。

「雅樹、あんた何を隠して……」

「はい、これっ!」