「ぶ、不器用だね?」

「何だと?こんにゃろ」

亮君は狩野城から離れてあたしのほっぺをつねった。

「いひゃいよ〜りょーふん〜」

「俺を馬鹿にした罰ですー」

「ほへんなひゃーい」

ごめんなさいと言ってるつもりなのに上手く言えない。

亮君は意地悪そうに笑った。

「だーめ、これはお預けだっ!」

そう言い亮君はあたしの手からアイスを取り上げた。

「ひ、ひどいよぉ〜アイス〜〜」

「ふむ、じゃあ条件付きだ」

条件付き?

アイスの為ならっ!

「なにっ?」

「泣いてた理由、言ってみ」

ズキ…!

やっぱり…聞くかぁ……。

あたしが俯いていると、亮君はニコッとした。

「なーんてなっ!辛いこと掘り返したりしねぇよ、ほら、アイス」

亮君は優しい笑みを浮かべてアイスをあたしの手に戻した。

亮君は優しいね…。

でもね?

誠也も本当は優しいんだよ…?

でも………。

「ううん、聞いて?実はね…………」

あたしは少しずつゆっくり出来事を話した。

好きだった人は親友の想い人だったこと、そして付き合ったこと。

好きだと言われたけれど、賭けられていたこと。

けれど、絶対にそんなことはないって信じているってこと。

話したけど、不思議と涙は出なかった。

亮は全部真剣に聞いてくれた。

「辛かったな…」

亮は悲しそうにあたしを見た。

そして言うか言わまいか少し迷ってから、やっと口を開いた。

「そいつのこと…まだ好きなんだな…」

ドキンッ!

「うん…好き……」

好きだけど…誠也はあたしのこと、好きじゃないんだよ…。

誠也…ねぇ誠也……。

賭けたのは嘘だって、すぐわかったよ。

でもね?
誠也の気持ちはわからないよ…。