その場に座り込み、そして泣き崩れる。

いくら泣いても誠也は来るはずないのに…。

なのに…。

あたしの中に、慌てて戻ってきて涙をぬぐってくれる優しい誠也がいるよ…。

抱きしめてよ誠也…。

「ウッ…ウッ……」

涙はまだ流れている。

誠也…お願い…戻ってきてあたしを抱きしめて…。

あたし、壊れちゃいそうだよ…。


そう願ったときだった。

「…誰?」

「え…?」

声のする方へ振り向くと、Tシャツに短パン姿の美形がいた。

男の子なのに容姿端麗過ぎて女の子にも見えてしまう。

涙を急いでぬぐい、ニッコリしようとした時だった。

その男の子はあたしを優しく優しく抱きしめてきた。

な、何なのこの人っ!?

パニクるあたしをよそに、男の子は優しくつぶやいた。

「辛かったんだね…」

また涙が出そうになる。

あたしは抵抗した。

「や、やめてください。ほっといて」

「泣いてんのに、ほっとけるわけねーだろ…」

「……………!」

涙が溢れ出した。

男の子はあたしの頭をぽんぽんっと撫でると力強く抱きしめてきた。

「泣きたいときは、泣け」
「ウッ…ヒック…うわぁぁぁん……」

男の子は『よしよし』と言いながら、泣き止むまで抱きしめてくれていた。

これが…あたしと彼の出会いだった…。