「あたしだって…誠也がずっと好きだったんだからぁ…」

「…は!?」

ずっと好きだった!?

佐奈が俺を!?

「誠也の鈍感〜〜」

「悪かったな!…つーか、マジ?」

未だにうまく実感できない。

佐奈の最初の話はやっぱり本当だったんだ…。

佐奈は涙でぐしゃぐしゃになった顔を向けた。

「マジだよ!バカッ!」

女って…。

バカバカ言うなよなぁ…。

でも、これって両想いだよな…?

やべ、嬉しい。

「でも…付き合えない…」

「は?」

何でだよ?

意味わかんねぇぞ。

佐奈は涙目で俺を見た。

「好き…ずっと大好きだった…」

「だったら…」

「でも!付き合えないっ!」

「何でだよっ!」

ちゃんと理由言ってくれよ…。

佐奈は一回俯いてまた俺を見た。

今度は悲しい中に決意を込めて。

「あたしは…愛美を裏切りたくない…裏切れないよ……」

「でも、それは俺の独断で…」

「それでも…あたしは愛美を苦しめたくないの…」

佐奈の気持ちは痛い程わかる。

俺も昔、裏切り、最愛の人を失ってしまったから…。

だけど…。

「俺は佐奈が好きなんだよ…」

佐奈を力強く抱きしめる。

どんっ!

「!?!?」

佐奈は思いきり俺を突き飛ばした。

突き飛ばされた胸板が痛む。

いや、心が痛い。

完全に『拒否』された。

佐奈は俯いている。

「佐…」

「…んで…」

「え?」

佐奈は俯いたままカタカタと震えている。

「だったら何で…愛美にキスしたの…?」