すると誠也は少し考えてニヤッとした。

「入れてここまで来れたらご褒美でほっぺにキスしてやるよ、なーんてなっ」

ほ、ほっぺにキス?

誠也が?


「本当…?」

「へっ?あ、ああ」

どうせ付き合えないなら…

ちょっとはあがいていいよね?


ちゃぷ…


怖い…でも、ほっぺにでもキスだもん。

好きな人の……

キスなんだもん。


誠也のとこまで後ちょっと!

…ってとこでつまづいた。

「きゃぁっ!?!?」

「佐奈っ!」

ばっしゃーん!

そのまま顔面ダイブ


…してない。

柔らかい…?

「ってて…大丈夫か佐奈?」

「え?あ、うん。って誠也!?!?」

誠也はあたしの下敷きになっていた。

あたしをかばってくれたんだ…。

痛いだろうからって。

誠也…あたし…やっぱり誠也が好きだよ…。

「ありがとう…じゃなくて大丈夫誠也!?」

「あー大丈夫大丈…って佐奈!?」

あたしは誠也の背中を見ようとした。

だって怪我してるかもしれないっ!

誠也が驚いてちょっと暴れたから、その反動であたしは誠也に押し倒された。


パシャンッ


「ひゃっ!!!」

押し倒された体制で誠也を見ると、水に濡れててドキッとした。

誠也はあたしを見ている。

…期待させないで…

お願い………。

諦められないよ…。

見てほしい…でも…見ないで…


あたしはあなたを諦めきれない…………。