オロオロするあたしに気付いたのか、誠也が海から出て駆け寄ってきた。

「どーした佐奈?お前、顔ちょっと青いぞ」

「えっ!?佐奈大丈夫!?」

愛美が慌てている。

そう…実はあたしは……。


「あ、あたし…泳げないんだった…」


「「えぇぇぇぇ!?!?」」


愛美と誠也は二人して驚いた。

雅樹はバカにしたように笑いながら来た。

「佐奈のやつ、高校生にもなって泳げないんだぜ?運動オンチにも程があるよなー」

「うるさいっ!」

水着でおもむろになっている雅樹のお腹にカウンターを食らわす。

「腹に…腹に入った…」

もがいている雅樹を無視して愛美と誠也に説明した。

中学の終わりに溺れて死にかけて、それからずっと水が怖いのに、今回すっかり忘れてたことを。

説明が終わると誠也があたしの頭をぽんぽんっと優しく叩いた。

「大丈夫、慣れればいい」


慣れれたら苦労しないよ…。


愛美が隣でむくれている。

やっぱり彼氏が他の子といるのは嫌なのかな?

すると誠也は何かひらめいたような表情になった。

「俺が慣れさせてやる!」

「ぇえっ!?!?そ、そんな悪いよ!」

あたしが必死になって弁解していると雅樹はニヤついて愛美の手を握った。

「じゃあ愛美ちゃん、俺とあっち行こう」

「えっ…ちょっ…雅樹君!?」

愛美がいきなり過ぎてオロオロしている。

…誠也と愛美のデートなのに……

誠也と二人っきりなんて〜。