夏休み真っ盛り。

日差しが強くあたし達を照らし見下ろしている。

「どっこいしょっと」

そんな『夏』にあたしは海に来ていた。


誠也と雅樹とあたしと愛美の四人グループで。

「ちょっと佐奈ぁ〜オッサン臭いよ〜」

「愛美ちゃん、佐奈はオッサンだからさ、元々」

「お、おい雅樹それは…」

「まぁ〜さぁ〜きぃ〜?」

「いーやー!」

荷物をパラソルの下に置いて雅樹を追い掛ける。

今回はあたしと雅樹はオマケ。

誠也と愛美のデートに無理矢理雅樹が参加しちゃったの。

しかもあたしも巻き添え。

雅樹の首に腕を回しながらあの日を思い出す。



『うーん…全部お茶だけど…愛美と誠也お茶でいーかなぁ?』

ジュース、というかお茶を買いに行ったあたしは軽い足取りで保健室に向かっていた。

そしたら…。


『え……?』

誠也と愛美が両思いで、キスまでしてた。

涙が流れそうだった。

でもショックで涙が出なかった。

『あたし、ちょっと見てくるねっ』

愛美がこっちへ来たから慌てて隠れて、少しして誠也に「おめでとう」の言葉を言った…。


(誠也が好きなのは愛美なんだもん…明るく何もないようにしてなくっちゃ…)



ちらっと誠也を見ると、愛美と談笑している。

ずっと好きだった人の隣に行けたのは…何年も片思いしてたあたしじゃなくて

二ヶ月片思いしてた親友だった。

ちょっとの嫉妬がある。

それに、まだ胸が引き裂かれそうになる位切ない。


まだ好きだから…。


まだ諦め切れていないから…。


「さ、佐奈っ!ギブギブ!」

うるさい雅樹から離れて水着を持って更衣室へ行く。

「あれ?佐奈着替えるの?じゃああたしも〜」

愛美も水着を持ってついてきた。