「違うよ、あたし」

身を乗り出して見ると鮎川はいなくて


……佐奈がいた。


ドキドキドキドキ…


鼓動がめちゃめちゃ早くなる。

顔が赤くなる。

体温が上がる。

ああ、やっぱり熱があるんだ。

佐奈はゆっくり歩いて来て、鮎川と同じように隣にちょこんと座った。

佐奈は心配そうに俺を覗き込んだ。

またドキドキする。

「誠也大丈夫?」

「あ、ああ」

「…誠也おめでとう!」

「え?」

何で『おめでとう』?

佐奈はニッコリした。

「愛美と付き合うんでしょ?」

「え、ああ」

「応援してたんだよあたし〜」

応援してた…?


ズキン…


痛い…心が痛む…。

何でかわからない…この痛み…。

「ありがとう佐奈」

この時に…

「どう致しまして♪」

わかっていればよかったんだ…。