鮎川は赤くなりながら俺の隣へちょこんと座った。

「ジュース買いに行ったよ?でも遅いなぁ〜…あたし、ちょっと見てくるねっ」

せっかく隣へ座ってくれた鮎川はニッコリしてベッドから飛び降りた。

「あ、じゃあ俺も…」

一緒に行くよ…って言う前にストップされた。

ちょっと悲しい。

「熱出して倒れたんだから安静にしてなよ。じゃあちょっと見てくるっ」

「ああ、わかった」

ガラララ…ピシャン

鮎川のいなくなった保健室はやけにしぃんとしている。

来月はもう夏だなぁ。

鮎川と海とかも、いいな。


そう鮎川と…。


ズキン…ズキン…


何で心が痛むんだ?

頭に浮かぶのは佐奈の笑顔。

一緒に海で遊んでるイメージも佐奈。

佐奈のことを考えると胸が苦しい。

それなのに佐奈のことばかりが頭に浮かぶ。

俺は鮎川の彼氏なのに、何で他の女子のことなんか考えるんだ?

しかも佐奈だけだし。

やっぱり幼なじみだし、久しぶりに会ったからか?

それとも調子悪いらしいし、そのせいか?


熱のせいかも。


きっとそうだな。



ガラララ…

保健室のドアが開く音がする。

鮎川もう帰って来たのか。

結構早かったな。

「鮎川早かったな」