[やっぱりきちんと話したいの。佐奈と気まずいままは嫌だから……。放課後、体育館裏で待ってるね。《愛美》]
愛美からだ!
あたしは辺りを見渡した。
愛美の姿は無い。
もう行ったのかな?
あたしはまた紙を小さく折りたたみポケットに仕舞った。
「佐奈、帰ろうぜ」
誠也が鞄を持ってあたしの席に来た。
あたしはすまなそうに言った。
「ごめん誠也、あたし放課後に用事あるの。すぐ帰るから」
「んー…じゃあ待ってるよ昇降口で。何分位かかる?」
「えっ!?悪いよ!」
誠也はニッとした。
そして、あたしの頭をポンと優しく叩いた。
「俺が待っていたいんだよ。何分位?」
「えへ、じゃあお言葉に甘えて♪んー…10分には昇降口に行くよ」
「分かった。じゃーなっ」
「うんっ」
あたしは爽やかに去る誠也に手を振り、体育館裏に向かった。
しんとしていて少し不気味。
それに愛美がいない。
「愛美ー?何処ー?」
「あなた、佐奈さんね?」
「え?」
あたしはいきなり聞こえた声に振り返った。
愛美ではなく、先輩と…今朝ヒソヒソ話してた人。
あたしは少し怖くなった。
「何か用、ですか?あたし愛美待ってるんですけど」
すると女の子が一人嘲笑を浮かべた。
「鮎川さんが来る訳無いじゃない。手紙を書いたのはあたしなんだから」
はい?
あたしは意味不明になった。
「何でわざわざ愛美の名前を使ったの?あたし誰から手紙来ても無視したりしないし」