「よかったな、佐奈」
へっ…?
「何が?え、どういう事なの?」
あたしには意味がわからない。
一体何を言ってるの?
すると亮は明るく言った。
「バッカ、お前と誠也の事だっつぅの」
「…え?」
ま、さか………。
亮は声色を変えない。
「見たよ、今日」
「…!」
あたしは思わず携帯を落としそうになった。
その時
コツンッ!
「?」
窓に、何か当たった?
あたしはカーテンを開けて下を見た。
「あ、やっと気付いたな?」
電話の声とかぶる。
「りょ、亮!?」
「よぉ」
あたしは携帯を切って下に駆け降り外に出た。
やっぱり亮だ。
「亮どうしたの!?凄い亮ん家からあたしん家遠いのに!!!」
亮はニッと笑った。
「こういう話は直にしてぇの、俺♪」
「亮…」
言わなきゃ…。
ちゃんと、ケジメつけなきゃ…!
あたしは息をすっと吸った。
「あ、あのね亮!あ、あたし…」
「分かってる。別れよ?」
ズキッ!
亮のこと、好きだったから、だからやっぱり痛い。
だけど、亮はもっともっと痛いよね…。
「うん…」
すると亮はあたしを優しく抱きしめた。
あたしは戸惑う。
「ちょ、ちょっと亮!?」
「ごめん、今だけ…」
そう言った亮の声は、涙を押し殺している声だった。
「亮………!」
あたしは亮を強く抱きしめ返した。
亮にそっとキスされる。
あたしの瞳から、幾粒も涙が溢れる。
「大好きだったよ…亮」
すると亮はあたしをまた強く強く抱きしめた。
「バーカ…俺の方が好きだったよ…」
そしていきなり離れ、ニコッとした。
「今度こそ、幸せになれよ?じゃっ!」
走り去る亮。
紅葉達が踊る中、亮は遠くなっていった。
涙が溢れ、視界が歪む。
顔を覆い隠し、そこに立ち尽くした。
ごめんね亮…
傷つけてごめんね…
最後まで好きでいられなくてごめんね…
甘えてごめんね…
ありがとう……!
あたしは泣きながら、そっと亮との恋愛に封をした。