「そんなの有り得な…」

「有り得る。佐奈は、亮さんにも何も言ってねぇじゃん。ズリィよ、お前」

ズキンッ…!

雅樹の言葉が突き刺さる。

あたしは何も考えてなかった。

誠也が好きで…

一緒にいたくて……

それしか、考えてなかった。

誰かが傷つくのを軽く見てたんだ。

あたしはギュッと拳を握った。

「ごめん…」

雅樹はハッとしたようにあたしを見た。

「わ、悪ぃ佐奈…傷つけるつもりは、無くて…」

雅樹が俯く。

あたしはニコッとした。

「大丈夫。あたし、亮に電話して来るね」

部屋に入りドアを閉める。

無言のままベッドに飛び込み、俯せのままでいる。

♪♪♪♪ ♪ ♪♪♪♪

「あ、携帯…」

携帯の着信音がタイミングよく鳴り響く。

携帯を手にし、着信画面を見る。

[着信あり 亮]

「…!!!!!」

あたしはビクッとした。

恐る恐る通話ボタンを押す。

ピッ

「はい…もしもし?」

「……………」

無言の亮。

どうかしたのかな…?

あたしは少し心配になる。

「亮?どうかしたの?」

「佐奈…お前………」

「え?」

亮の息を飲む音が聞こえる。

あたしが、何…?