「愛美ちゃんから電話来てたぞ?」

ドクンッ!

ま・な・み…………


あたしは硬直した。

心臓が物凄い強さで締め付けられる。

苦しい…!

ガタタンッ!

「佐奈っ!?」

「はぁっ…!はっ…!」

あたしは息が出来なくなった。

肺がキリキリ痛む。

痛い…!

雅樹が駆け寄る。

「佐奈っ、どうした!?」

「まさ…苦し…いたぁ…!」

あたしは雅樹の肩に寄り掛かった。

雅樹がそっとあたしを抱きしめる。

「大丈夫、大丈夫だからな……怖くないから……俺がいるから……」

「ま…さき……けほっ!けほっ!」

いきなり息が吸えて一気に吸ったからか、少し咳込んだ。

雅樹があたしの背中を摩る。

「よかった…もう大丈夫だな」

「うん、ありがと雅樹。でも私、何で今、息出来なくなったんだろう…」

あたしには理由がわからなかった。

愛美からの電話って聞いて、訳わかんなくなって………。

何で……?

「誠也と、付き合ってるからじゃ、ねぇか?」

「え!?」

あたしは雅樹の言葉に驚いた。

誠也が原因な訳がない。

少し怒りが芽生える。

「誠也が原因な訳無いじゃん!」

「ぉわっ!」

勢いよく雅樹を突き飛ばして立ち上がる。

雅樹も慌てて立ち上がる。

あたしは雅樹をキッと睨んだ。

「何で誠也のせいになんの!?意味わかんないっ!」

「ちょっ、ちょっと落ち着けって。理由あるから、理由」

「…何?」

あたしは睨むのを止めて大人しくする。

雅樹は少し呆れたようにあたしを見た。

「誠也はまだ愛美ちゃんと別れてないだろ?それで佐奈は誠也と付き合った。だから愛美ちゃんが怖い。違うか?」

「え…」

あたしは言葉を失った。

あたしが、愛美を怖がっている……?

そんな、そんな訳無いよ…!

あたしは雅樹を力無く見た。