「っあー…!俺カッコ悪ぃよなぁ、佐奈の前で泣いちまったし?」
歩きながら誠也は苦笑しながらあたしを見た。
勿論、手は繋いだまま。
「そんなことないよ?カッコイイ所あったし」
「お世辞だな?」
「本当だって。過去を踏み台にした所とかさ」
「ははっ、サンキュ」
誠也は笑うと少し気まずそうにした。
「………あのさ、佐奈」
「ん?」
誠也がピタリと立ち止まる。
顔がちょうど見えない。
あたしは動いても見れない位置にいる。
「?誠也ー?」
「一つ、いいか?」
「え?うん、いいよ?」
すると誠也はいきなり振り向いた。
顔が少し赤い。
あたしの目線と絡み合う。
ドキンドキンドキン…
「俺……」
ドキンドキン…
握った手に力が入る。
「佐奈が好きだ。付き合ってほしい」
「!!!」
あたしはビックリした。
そして嬉しくて嬉しくて泣き出した。
「うん、うん…!」
「あぁ…って佐奈!?泣くなよ〜」
「うぅ〜だってぇ〜嬉しいから〜」
誠也が笑いながらあたしの頭を撫でる。
「俺も。かなり幸せ」
「あのね、誠也…」
「分かってるよ、愛美だろ?」
誠也は真面目な顔をした。
あたしは黙って頷く。
「大丈夫、しっかり話す」
「うん………愛美、泣いちゃうよね…」
「あぁ…」
辺りはしんと静まり返り、あたしと誠也の息使いだけ響く。
月があたし達を照らし始める。
あたしは誠也の服を空いている片手で軽く握った。
何だか切なくて、泣いてしまいそう。