「………誠也」
佐奈が今度は俺を抱きしめた。
暖かい、佐奈の体温。
「大丈夫だよ…誠也は、翔太君に守られて、サヤちゃんにも守られた。だから…今度は誠也が守るんでしょう?だから、大丈夫……皆、誠也が好きだからだったんだよ」
「佐奈…………」
佐奈はアヤをちらっと見ると俺から離れ、俺の手を握った。
「あたし達、もう帰ります。色々ありがとうございました…」
アヤはニッコリした。
まだ泣いていたけれど、翔太が隣りにいるような笑顔。
「こちらこそ…!」
「アヤ…ありがとな」
俺がアヤに礼を言うと、アヤは足早に俺に近づき、思い切りデコピンした。
「ってぇ!」
「ばーか」
「んだとぉ?人がせっかく礼を…」
「幸せに、なんなよね」
アヤはいつもみたいにニッとした。
拳を俺に突き出す。
「アヤもな…!」
俺は、拳をアヤの拳にぶつけた。