「どういう事だよアヤ。翔太には彼女なんて…」

「それが、ここにいるの」

アヤは微笑んだ。

有り得ない。

翔太はサヤ一筋だった。

「翔太はサヤだけが…好きだった」

「だからさっきも言ったじゃん?あたしはサヤの代わりなの…翔太はあたしをアヤなんて呼ばなかった。ずっと………」

アヤは悲しく微笑んだ。

「『サヤ』って呼んでた」

「なっ!?」

嘘だろ!?

俺は立ち尽くした。

佐奈の手を握る力が、抜ける。

すると今度は佐奈が強く手を握ってきた。

「佐奈……?」

佐奈がニッコリする。

ヒマワリのような明るい可愛い笑顔。

「あたしが、いるからね」

「佐奈……」

俺は佐奈の笑顔を見て微笑んだ。

「ありがとうな、佐奈…」

強く佐奈の手を握る。

「えへへ、よかった〜」

佐奈は嬉しそうにニッコリした。

俺は、ゆっくりアヤを見た。

「アヤ、それは…」

「そう、たまらなかった。辛かった。だって……」

アヤは、泣いていた。

「あたしは、翔太が好きだったんだから…。たとえ年下でも、好きだった……」

「アヤ……」

俺には、かけてやる言葉がなかった。

すると佐奈が俺から手を離した。

「佐奈?」

「………………」