「ふぁぁぁぁ……眠ぃ〜…」

高校の中庭の桜の木の下で思い切り背伸びしてあくびをする。

入学式は二ヶ月も前なのに、何故か先週入学式が終わったときみたいに疲れている。

ついに俺も高校生…うっしゃぁ、やるぜー!!!


なんて気持ちはカケラも無くなっていたけれど。

つーか元から無かったけど。

高校生になったから目茶苦茶遊べると思ってた…俺がバカだった。

勉強勉強勉強勉強…………。

って、あんま中学生と変わらねぇじゃねーかっ!

まあ、俺はあんまり遊んだりしない派なんだけどな。

やっぱり楽な方が楽しいだろ?

大学に向けて、かぁ…。
まだ実感ねぇや。

クラスメートの名前だってまだ半分も覚えてないくれぇだし。

が、周りは俺を知っている。

俺が知らないのに知られてるって…気味悪ぃな…。

あぁ…何だか眠気がヤバイ。

このまま寝てぇ気分だ。


「はぁ…マジ眠ぃ…」

すると木の反対側から声がした。

「寝不足?」

「そうかもしんねぇ」

「睡眠とらなきゃダメだよ」

「わかってはいるんだけどな、つい」

説教されたし。


…って、人いたのかよっ!?

何気に話してたけど誰っ!?

「えーっと…誰ですか?」