あたしが今朝見た夢とはまるで違う。

その爽やかさぶりに、大也の周りの空気がキラキラして見えるくらい。


「どうしたの、朝から?」

「いや、急にあかりの顔見たくなって」


部屋に通すと、大也は床の上に胡坐をかきながら、耳の後ろのあたりをポリポリかいた。


「実習で何が辛いって、あかりに会えないことが一番辛いよ」

「大也……」


学部も一緒で、同じ授業を受けることも多いあたし達は大学で毎日顔を合わせていた。

だけど、今は二人とも実習中で、休日に会うことさえままならない。

お互い、夜に電話一本することさえできないほどに忙しいのが現実。


「我慢してたんだけどさぁ、やっぱ会いたくなって」


おいでおいでと手招きされて、そばに寄っていくと、あたしの体は大也の腕にすっぽりと包み込まれた。


「大也っ?」

「充電。俺、あかり欠乏症だよ」

「なぁにそれ?」

「あかりが俺の電池ってこと」


くすぐったい気持ちが、あたしの胸をきゅっと締めつける。


「大也、なんか甘えん坊」

「うん。だって俺、すっげー淋しかったし」


くすくす笑うと、大也は少し口を尖らせた。